| 難易度 | ★★★★☆ (やや難しい) |
| おススメ度 | ★★★☆☆ |
| 受験資格 | 誰でも受験可能 |
| 勉強時間 | 約300時間 |
概要
システムアーキテクト試験は、情報処理技術者試験の中でも「システム作りの設計図を描くプロ」を目指す人のための試験です。たとえるなら、大きな建物を建てる前に、どんな構造にするか、どんな機能を盛り込むかを考える設計士のような役割です。
ITの世界でも、システムはただ動けばいいわけではありません。利用する人にとって便利で安全で、長く使える仕組みを考えることが求められます。システムアーキテクトは、その全体像を描いて方向性を定める、とても頼もしい存在です。
この試験を受けると、要件定義やシステム設計、品質やコストへの配慮といった「大きな視点」で物事を見られる力が身につきます。普段の開発経験をさらに広げ、「設計を通じて人とビジネスを支える」一歩につながる試験と言えるでしょう。
これからキャリアをステップアップしたいエンジニアや、システム全体を設計できる立場を目指す方にとって、挑戦しがいのある資格試験です。
出題内容と合格基準
試験は、午前Ⅰ・午前Ⅱ・午後Ⅰ・午後Ⅱの4つの試験区分で構成されています。各区分ごとに60点(満点100点中)以上が合格基準です。
【午前Ⅰ】(四肢択一、30問、50分)
・テクノロジ系(コンピュータ構成要素・システム構成要素・ネットワーク・セキュリティ等)
・マネジメント系
・ストラテジ系(企業活動・経営戦略なども範囲)
【午前Ⅱ】(四肢択一、25問、40分)
・コンピュータ構成要素(プロセッサ、メモリ、入出力デバイスなど)
・システム構成要素(システムの構成、評価指標)
・データベース設計・操作・トランザクション処理
・ネットワーク方式・通信プロトコル・管理
・情報セキュリティ(管理、対策、実装技術)
・システム開発技術(要件定義、方式設計、詳細設計、テスト、導入、保守など)
・ソフトウェア開発管理技術(プロセス手法、知的財産管理、構成管理、変更管理)
・システム戦略、システム企画
【午後Ⅰ】(記述式、3題中2題を選択、90分)
・要件定義や設計工程の技術的スキルを記述で問う
【午後Ⅱ】(記述式、2題中1題を選択、120分)
・実務経験に基づいたシステム設計や構築に関する論述
試験日
筆記試験。4月の特定の日曜日に実施。
※令和8年度試験より、CBT方式(試験会場のPC画面上にて解答)に変更予定。
ご自身の希望する日を選んで受験することができます。
試験地
全国主要都市
受験料
7,500円
合格率
令和7年度春 : 15.5%
令和6年度春 : 15.0%
令和5年度春 : 15.8%
取得のメリット
・市場価値の向上
合格すると、より高度な上流工程での設計やシステム構想に携わることができ、担当できる案件の幅が広がるため、社内外での評価や人材的価値が高まります。結果的に高収入や重要ポジションの獲得につながることもあります。
・多岐にわたるスキル・知識の証明
試験取得によって、システム設計に必要なIT技術だけでなく、業界知識やマネジメント能力も持ち合わせていることを客観的に証明できます。これは専門性の高さを示し、信頼性や実力の裏付けになります。
・上流工程への参画とキャリアアップ
資格を取る過程で要件定義やシステム設計能力が身につき、将来的な運用も見据えた付加価値のあるシステム設計が可能になります。そのため、より大規模で重要なプロジェクトの設計段階から参画ができ、キャリアアップにもつながります。
・転職やポジションアップで有利
市場価値が高まることで転職時の評価も上がり、好条件での転職や昇進に有利になる傾向があります。需要が高く実務経験者が少ないため希少価値もあります。また、他の資格試験の一部が免除されるケースもあります。
ステップアップ
・実務経験を積む段階
資格取得直後は中規模プロジェクトのアーキテクトとして経験を積み、徐々に大規模プロジェクトの設計や管理、複数プロジェクトを統括するリードアーキテクトへとステップアップします。また、企業全体のITアーキテクチャ設計を担うエンタープライズアーキテクトを目指すこともあります。
・専門性の深化、技術リーダーへの道
テックリードやセキュリティアーキテクトなど、より技術特化型の役割に進むケースもあります。AIやIoT、クラウドなどの新技術分野での専門性を深めることも有効です。
・フリーランスやコンサルタントとしての独立
システムアーキテクト資格を活かし独立し、技術顧問やコンサルタント、アーキテクチャ専門家として複数社支援する道もあります。フリーランスとして高収入を得る例もあります。
・経営層やIT戦略層への昇進
CTO(最高技術責任者)や企業の経営層、IT戦略を担うポジションを目指すキャリアもあります。資格と実務経験を積み、経営視点や組織運営能力を養うことが大切です
・他資格との連携とさらなる成長
さらに高度な資格(例:ITストラテジスト、プロジェクトマネージャー)取得や関連分野の資格(セキュリティ、データベーススペシャリストなど)を取得し、キャリアの幅を拡げる選択肢もあります。
主催者リンク
情報処理推進機構(IPA)
https://www.ipa.go.jp/shiken/mousikomi/cbt_sg_fe.html
